2017年8月26日奈良県ツアー開催レポート

続いて、奈良県でのツアー報告です!

8月26日、奈良県社会福祉協議会主催「なら小地域福祉サミット」とのコラボで開かれた催事には、476名と、たくさんの方に参加いただきました。

参加者の声を一部紹介します。

「こども食堂は、しんどい子どものためだけではなく、またこどものためだけでもないという、ことが理解できた。居場所を通じた地域づくりであるという湯浅さんの言葉に共感した。」
「県内にも、多くのこども食堂が活躍していることがわかりよかった。」
「これまでの高齢者向けのサロンや会食会を、こどもに広げていくなど自分たちでもできそうなことがわかった。」
「県内の実践に触れ、元気をもらった」・・・
また、福島と同じく、奈良でもこども食堂ネットワークが発足しました!
こども食堂29団体と、サポーター5団体が加わり、互いの実践に学びながら連携を深めていくとのことです。

ツアー事務局の県社会福祉協議会・岡本さんからは、

-「奈良こども食堂ネットワーク」設立へ向けて、県内活動者の思いや課題などを共有し、
こども食堂の広がりへ向けて県域での取り組みを整理することができました。
身近な支え合いの地域づくりをテーマとする小地域福祉活動と、地域の居場所であるこども食堂は、つながりの強い取り組みであることを基調講演で解説いただいたことで、今後の活動の広がりの後押しとなったと思います。-

との感想をいただきました。

今後、奈良こども食堂ネットワークでは、会員向けの勉強会や啓発のイベントも企画するそうです。こども食堂の歴史は、まだ始まったばかり。仲間と情報・ノウハウを交換しながら、長い目で応援者を増やしていくことに期待です。

2017年8月11日福島県ツアー開催レポート

9月に入り、今年もあと3か月を切りましたね・・早いです。

全国ツアーは8月、3県で開催されました!

8/11に「ふくしまこども食堂ネットワーク」発足式にあわせ、ビックパレットふくしまで開かれた催事には120名が参加。
県内にある約10か所のこども食堂のうち、まずは6団体がネットワークを組みました。資金や食材確保の情報交換を図り、長く運営が続けられるよう、これから連携しあって活動していくそうです。

シンポジウムでは、白河市のKAKE COMI代表の鴻巣さん、滋賀県高島市社会福祉協議会事務局長の井岡さん、そして全国実行委員会からは法政大学教授の湯浅さんが登壇。
事例報告を通じて、地域の理解を得ながら活動を続けていこうと、フロアとの意見交流が図られました。

ツアー実施担当のNPO法人寺子屋方丈舎(会津若松市)の江川さんより、

-東日本大震災以降福島の中で、課題解決のために官民連携の必要性は前よりも強まっており、当時者意識も高まっていると思います。特に、多様な人が関わる場(コミュニティー)の中の子どもの居場所づくりに力を注いでゆきます。
現場ごとに、社会福祉協議会、市町村行政との連携を深めてゆきたいと考えています。-

との感想をいただきました。

立場や年代、さまざまな垣根を越えて、子どもの成長を見守りながら総力戦で進んでいこうと、力みなぎる1日だったようです。

2017年6月8日宮城県ツアー開催レポート

6月8日、宮城県で全国ツアーが開催されました。広い県庁講堂は、開始直後にはほぼ満員になったそうです。行政、社協、生協関係者のほか、保育園の関係者、高齢者福祉にもかかわる地域福祉コーディネーターら、また、一般のこども食堂に関心がある・活動してみたい方たち総勢340名の方が参加され大盛況だったようです。

宮城県では、平成28年3月に「宮城県子どもの貧困対策計画」が策定され、宮城県の子どもたちが、生まれ育った環境によって左右されず、また東日本大震災の被災によってその将来をあきらめることなく、夢と希望を持って成長していくことができる地域社会の実現を目指しています。

開会の挨拶をされた村井嘉浩県知事からは、こども食堂の取り組みが県内全域に開設されるように県としても支援し「本日のこのフォーラムをきっかけに,「こども食堂」が特別な取組みではなく、「地域住民の誰もが理解し関わっていける取組み」として、さらに広がっていただければ幸いです」というお話しがありました。

「広がる!みやぎのこども食堂を知ろう」と題されたパネルディスカッションにご登壇された方々の声を一部ご紹介いたします。

「ていざんこども食堂」の門馬優さん(特定NPO法人TEDIC代表理事)は、「あの震災が来て救われた、と思っている子どもがいることを知り、その存在に気づけなかったことがショックだった。子どもが困ったときに頼れる場所・大人がいる街にしたい」と活動当初の思いを語っています。また、活動を通して、子どものことを思っている「おっちゃん、おばちゃん」が地域にはたくさんおり、自分たちが住んでいる地域が大好きで、子どもたちを大切に思っていることに感動したそうです。「こうした活動は、地域の力を信じることから始まるんだと思う。地域へのリスペクトから始まる。また、そうして地域で育った子どもたちはまた、地域のことを好きな大人に育つんだろう」とお話ししてくださいました。

「多賀城こども食堂」の大橋雄介さん(特定NPO法人アスイク代表理事)は、学習支援から活動を始めたそうですが「外から見えにくい問題を早期発見するために子どもたちを見守るという目的は、学習支援もこども食堂も同じ」だとお話ししています。子どもが求めていることは何か?という視点から「こども食堂は食事の提供だけど、夜寂しい、誰かとかかわりたい、そうした子どもの思いに寄り添うことが大事。どうやって子どもたちと関係を作っていくか。食事の次にあるものをみなさんと考えていければと思っている。」と、こども食堂活動の次のステップについてお話ししてくださいました。

「もともと「こども食堂を始める人を支援したい」という思いからスタートしたので、2016年8月にこども食堂作り方講座を開いたのを始め、勉強会を3回開催。今回の全国ツアーイベント開催にも力を入れた」とお話しくださったのは「せんだいこども食堂コーディネーター」の青木ふく子さん。昔は親戚の子どもが集まるだけで、たくさんの子どもが集まりわいわいとなったものだが「こども食堂は、そうしたわいわいする場になるのが良いのでは。そういう温かい場を作って、そうした場が大事なことを子どもたちに伝えていければ良いと思う」とお話してくださいました。青木さんは、ご自身のお住まいの地域での子ども食堂を立ち上げることにしたそうです。

今回の実行委員会の代表であり「せんだいこども食堂」代表でもある門間尚子さんからは、「小さなつがなりから子どもたちを支えることができる」と力強い閉会の挨拶があり、盛会のうちに幕が閉じられたそうです。

ご紹介しきれないことがまだまだありますが…。こども食堂活動を入り口に、子どもを取り巻く現実や思いに出会い、寄り添い、頼れる大人がいる地域づくり、それを通して未来に何を伝えていくのか…。そのようなことに思いを馳せつつ、まだまだ広がれ、こども食堂の輪~!

  

 

 

2017年5月27日長野県ツアー開催レポート

5月27日、長野市若里市民文化ホールで長野県の全国ツアーが開催されました!約130名の方が参加され大盛況だったようで、会場にいらした方からの熱いレポートが届いています。一部ご紹介いたします。

「こども食堂の第一人者の栗林さん(豊島子どもWAKUWAKUネットワーク)からは、1つ1つ、1人1人の地域の個別のこどもの課題に向き合い、地域に共感と理解と協力が生まれた、『個別支援を通じた地域づくり』の真骨頂をうかがいました。

湯浅誠さんからは、みんなが経てきた『育ち』について、

①知識・食事・エネルギーを与えられる ②日常的な体験 → 価値観 ③(自分にかけてくれる)時間 ④トラブル対応

この4点のポイントを教えていただき、親がやれない場合、地域的に・社会的に用意をする、その一例が『こども食堂』であり、その中で、体験があるか、出会いがあるかが重要だと話されました。また、「こどもの育ちの手法」と「つながるポイント」を伝えていくのが、今回長野でも開催された【広がれ、こども食堂の輪!全国ツアー】の目的だと教えていただきました。その他、県内の取り組みを引っ張っていく『信州こども食堂ネットワーク』の報告も力強かったです。そして、県内のたくさんの実践者が集まっていたのが嬉しかったです。」

なんだか、読ませていただいているこちらも熱くなってきますね~

さらに、会場に足を運んだ全国ツアー実行委員会のメンバーからも、レポートが届いております。こちら一部ご紹介いたします。

「第一部での栗林さん、佐甲さん、湯浅さんのリレートークは、現場から、中間支援者として、全国ツアーが何を目指すかという、それぞれの視点から話されていて、とても腑に落ちるリレートークでした。

「居場所」「協働」のほか、「大人たちにとってのこども食堂」=「大人たちのつながり」が、この日のキーワードになりました。うち、「協働」と「大人たちのつながり」が後半のパネルディスカッションで話し合われました。特に、「大人たちのつながり」については、会場からの質問もあり、高齢者介護との連携にまで話が発展し、「宅老所」「宅幼老所」でのこども食堂の実践、県が両者の連携を促す制度的な検討を始めていることなどが紹介されました。

子どもの貧困問題として真正面から取り組んで短期間に県内にこども食堂のネットワークを広げている青木さんの熱さ、県の轟担当部長の冷静で論理的な話しぶりが対照的で、人材の多様さ、というか適材適所ぶりが印象的でした。」

長野県ツアーの事務局の認定NPO法人長野県みらい基金の高橋さまからは「いくつかのグループに分かれている子ども支援団体や、普段一緒に動けない県社協、協働という名のもとに県や行政、ライオンズクラブ、連合、更生保護女性連盟などの方々が集い、繋がり始めたことがよかったと思います。子ども食堂を広めよう、というツアーから、どんな中身なのか、に変換していくタイミングを感じました。」というご感想をいただいています。

ツアー開催を機に多様な方々のつながりが広がり、多くの学びと気づきの時間により、冷静と情熱の間で子どもと大人、みんなにとっての「こども食堂」がより鮮明に見えてきたようです。全国ツアー中盤に、熱く学び深いレポートをありがとうございました!

 

 

 

 

 

2017年5月7日高知県ツアー開催レポート

5月のツアー第一弾、高知県よりご報告が届きました!

5月7日に高知県立ふくし交流プラザで、ツアーが開催されました。

こども食堂で活動されている方々のほか、行政や社会福祉協議会の方々、福祉施設や民生委員の方々、地域づくりに関心のある方々も含めて約250名のご参加がありました。午前中には映画「さとにきたらええやん」の上映があり、午後には6つの分科会が開かれました。それぞれの分科会では、こども食堂と学校や地域との連携、こども食堂の作り方、こどもの現状や居場所づくり、フードバンクの取り組みついて考える時間になったようです。

ツアーに参加された方からは、「人は人の中で成長する」、「こどもの居場所づくり」、「おせっかいが世界を変える」などの声があったとのことです。

ツアー開催の事務局の高知県社会福祉協議会の小谷さまからは「実行委員会で主要メンバーのネットワーク化が図れましたので、これを基盤にこども食堂推進のための研修会、子ども食堂実施支援を行っていく予定です」というお話しをいただきました。高知県では、この春に「子ども食堂支援基金」が設立され、委託を受けた県社協が「子ども食堂支援事業」として、こども食堂の開設や運営の支援を行っているそうです。

ツアー開催を機に地域のなかで生まれたネットワークや県によるこども食堂の活動支援により、今後、ますます広く、深く活動が浸透していきそうです。

高知県のみなさま、ありがとうございました!!

 

 

 

2017年4月29日岡山県ツアー開催レポート

4月29日に開催された岡山県のツアーの報告が届いています。

参加者は300名を超えるほどで、児童福祉関係者やNPO関係者、行政、地域住民に加え、高校生の集団や大学生の参加もあり大盛況だったようです。

岡山県のツアーの実行委員会は、すでに昨年度から動き出していた「岡山子どもの貧困対策ネットワーク会議」が中心となり、子ども食堂関係者を巻き込みながら準備を進めてくださいました。 午前中には全国ツアー実行委員の湯浅さんの基調講演があり、午後は4つの分科会に分かれて、最後4つの分科会の担当者の総括がありました。ある分科会では、高校生や児童委員、高齢者関係のNPO活動者、行政職員と多様な立場の方々が情報交換できる会になったようです。

注目すべきは、若い力の活躍です。会場の準備や司会進行などを大学生や4月から子どもの貧困対策のためのNPOを立ち上げた卒業生が頑張ってくれました。また、おかやまユースミーティングのメンバーが、自分たちの置かれた厳しい状況や切実な問題について自分目線で語ってくれたスピーチが印象的であったとのことです。

子ども支援の関係者と、未来を担う若い力が織り交ざる…子どもを真ん中においた地域づくりへの大きな一歩。今後の活動に期待大です!

 

 

 

2017年3月11日岩手県ツアー開催レポート

【岩手県からの報告です】

3月11日、震災から7年目の岩手県から、大盛況であった全国ツアーの報告が届いています。

350名を超えるたくさんの方がご参加のなか、こども食堂の活動や地域づくりに関わっている方々とともに、誰もが排除されずに地域で支えあう仕組みづくりや共生社会の実現について考える時間となったようです。

ツアー主催者である「インクルいわて」の事務局の花坂さまから、シンポジウムの印象的なエピソードをいただきました。

~参加された方から「支える人と支えられる人をわけないこと」について触れている方がおり、シンポジウムの大きな主題でもありました。「かわいそう」といったような一方的な視点ではなく、子どもの貧困が解決すべき課題ではあるかもしれませんが、殊更そこだけにフォーカスするのみならず、参加者、ボランティア、支援者すべて含めた、こども食堂のあり方を今後も考えていければと思います~

また、シンポジウムを開催されたご感想として

~今回のシンポジウムでは、岩手県内において、今後新たにこども食堂を立ち上げようとされる方が、多数来場されている状況があり、こども食堂への皆様の関心具合を知ることができるとともに、シンポジウム全体のテーマである復興にも通ずる「共生社会」「支えあう社会」について、理解を深めるべく参加された方々も、非常に多い印象でした。こども食堂は、子どもの貧困対策に留まらず、地域づくりにおける市民参加型の一つのアプローチ方法と受け止めておりますので、ひいては、地域づくりにも関心が高いことがうかがわれました。参加された方々とのネットワーク形成は、今後の課題でもありますが、会場内でも横のつながりが発生しているようでしたので、非常に有意義だったと思います~

というお話しをいただきました。

すでに、来場者の方々で横のつながりが出来てきているとのこと。さらなるネットワークの広がりや「共生社会」や「支え合う社会」への一歩でありますように!

2017年3月15日沖縄県ツアー開催レポート

【沖縄からの報告】

全国ツアー最南端!沖縄からもツアー報告が届いています。

3月15日、沖縄県庁で開かれたツアーには、170名の方にご参加いただきました。
「子どもの居場所づくり」を「地域づくり」の視点でとらえ、今ある取り組みの必要性や立ち位置を振り返る時間になったようです。

参加者の声を紹介します。

* * * *

・なにもしなくても、ゆっくり子どもと向きあうことの大切さ。今までの活動が無駄ではないと安心しました。
・湯浅先生の話が分かりやすく、子ども貧困が地域の問題だと改めて気づきました。
・コップの水を満たすためには関われる“時間”がたいせつであることを再確認させていただくきっかけとなった。
・居場所がいかに必要なのか改めて思うことができました。そして、地域や自分のまわりの人々にしっかりつたえていくことが大事なので伝えていきます。
・子どもの支援は、学習、食事、時間、体験、生活支援が大事で、その中でも時間が大事ということが勉強になりました。

* * * *

ツアー主催の沖縄県 子ども生活福祉部 子ども未来政策課の三和さまからは、次のコメントをいただいています。

~今回は、子どもの居場所や自治体などで子どもの支援に携わっておられる方の参加が多かったのですが、アンケート結果をみますと、今それぞれが取り組んでいることの必要性などについて再確認する機会となったの回答が多かったです。
まだ手探りで活動をしている方も多いのですが、今後の活動継続に向け、湯浅先生の言葉が励みになったと感じております。~

ツアーを機に地域で子どものための活動ネットワークがつながり、さまざまな方の協力を得て長く継続していきますように。
北へ南へ、西へ東へ・・・もっと広がれ、こども食堂の輪~!

2017年3月12日兵庫県(第1弾明石市)ツアー開催レポート

 【兵庫からの報告】

4月に入り、ようやく春らしくなって来ました!

兵庫県(第1弾・明石市)からの報告が届いています。

3月12日、あかし市民広場で開かれたシンポジウムには、約300名の方にご参加いただきました。
同日のこども食堂体験会には、30名の子どもたちがこども食堂の雰囲気そのままに、お好み焼きづくりを体験する楽しいひとときも。

パネル・ブース展示にも、たいへん多くの方々にお立ち寄りいただたようです。

シンポジウムのパネリストとして、実行委員会からは栗林さん、湯浅さんが登壇し、大阪の「にしなり☆こども食堂」の川辺さんが事例報告をされました。
あすのばの小河さんがコーディネーターを務め、「子どもの笑顔をみんなで支えるには?」を主題に、実践的な意見交換が交わされました。

参加者の方からは、「湯浅さんの、こども食堂が提供しているメニューは大きく分けて『時間、食事、体験』の3つがあり、さらにそこから必要な支援につなげていくといった裏メニューもある、というお話が印象に残りました」との声をいただいています。

共催の明石市こども未来部 児童福祉課の八木谷さまからは、

~県内のこども食堂同士の繋がりはもちろん、コープこうべや神戸YMCA、フードバンク関西といった支援団体とこども食堂運営者の繋がりが拡がったように感じます。
また、イベント開催後、市民などからの問い合わせも増えています。~

との感想をいただきました。

兵庫県では、連続イベントとして9月2日(土)午後、ひょうご共済会館を会場にツアー第2弾が開かれ、県でのツアーが完結します。

詳細が決まり次第、HPにてお知らせします。
秋に続く兵庫でのツアーにもどうぞご参加ください!

 

 

 

 

2017 年3月4日島根県ツアー開催レポート

「子ども食堂交流広場2017」は3月4日午後、松江市のいきいきプラザ島根で開かれ、社協や公民館の関係者や子ども食堂に関心のある一般の人、学生ら約70人が集まりました。島根県社会福祉協議会の主催、県、県教委などの後援で、「子ども食堂」や「ふれあい食堂」を運営している県内各地の8団体、11人が報告者として参加しました。島根県では、子ども食堂の活動がちょうど広がり始めたタイミングで、県社協によると、県内で子ども食堂を現在運営しているのは12団体。この日参加した8団体のうち、NPO法人眞知子農園の畑食堂(安来市)が最も早く昨年3月から、安来市の社会福祉法人せんだん会が「どじょっこ子ども食堂」を始めたのが同4月、他の6団体はいずれも昨年夏から冬に開設したばかりの団体でした。

この日は、それぞれの団体が始めたきっかけや現状と「困っていること」「応援して欲しいこと」を報告する形で進められました。

松江市内からは3団体が参加。「まつえこども食堂さいか店」を運営している市社会福祉協議会の清原正憲さんは、子ども食堂のことを自分たちがまず知りたいという職員の発案で、上司の実家である市内の寺の会館を借りて始めた、と報告しました。この経験を生かして来年度以降、こども食堂を立ち上げたい人・団体をサポートする事業を市社協として企画し、すでに予算化しているとのことでした。

高校生を中心に地域との交流事業をしている「たまゆメンバーズくらぶ」からは前会長の渡部史人さんらが出席しました。クリスマスにちなんだイベントとして昨年12月に公民館ホールで「たまゆ子ども食堂」を開催し、とても好評だったといいます。専門学校生時代から同くらぶで活動し、まだ20歳代という渡部さんは「子どもの食の問題に、若者自身が関心を持ち行動を起こすことが必要だと考えてやってみた。今後、学校の休み期間に年数回開きたいと思っているが、実際どうやって続けていけばいいか悩んでいる」と報告しました。

松江市内の老人保健施設を借りて昨年8月から毎月1回開いている「なないろ食堂」は、社協やJAしまね、生協しまねなどで作る運営委員会が設置。事務局長の吉川郁子さんは「当初は広報に苦労した。食事作りに子どもが参加することを原則にし、食を中心にした子どもの居場所として運営している」と話しました。

浜田市で「はまだふれあい食堂こくふ会場」を運営している実行委員会代表の細川豪さんは、地元の協力を得るための試行錯誤を紹介しました。地元の小学校と相談して、名称を「子ども食堂」から「ふれあい食堂」に変え、「子どもの孤食対策」という言葉もチラシから削りました。そうして児童240世帯にチラシを配ることができたのですが、「その学校からの参加はゼロだった」といいます。ただ、地域には孤立した高齢者がたくさんいて、そうした高齢者は食堂を楽しみにしているそうです。「子どもは集めるのに苦労しているが、お年寄りは当日朝早くから集まる。3世代、4世代のふれあい食堂、という方向性は間違っていないと思う」と話しました。

大田市の「おおだ子ども食堂」は、学童保育をしている教会の協力を得て昨年7月から月1回開催、コンスタントに50人くらいの子どもたちが参加し、リピーターも増えてきているといいます。実行委員会代表の横原治さんは「地域の小学校の理解を得て、520人の児童全員にチラシを配れている。学童の保護者の方もボランティアで参加してもらっている」と報告しました。地域の小中学校からの協力がまだ得られず、チラシを配れていない他の団体の参加者からは、ため息が漏れていました。

安来市のNPO法人眞知子農園が運営している畑食堂は、同農園の畑で育てた野菜を使って畑の中や古民家で実施。同法人の西村眞知子理事長は「すべての子どもたちにとって居心地のいい場所を作りたい」と話しました。同市の社会福祉法人せんだん会は、就労継続支援施設ワークセンターやすぎ内にあるカフェグリルを使って毎週日曜に「どじょっこ子ども食堂」を開いている。ワークセンターやすぎ所長の加藤雅樹さんは「認知度がまだ低いのが悩みです」と報告しました。

江津市で「お茶のま食堂」を運営する事務局の冨金原真慈さんは寺の住職。冨金原さん、一緒に参加した同僚の渡辺諭さんはともに30歳代だ。「子ども食堂と言うより世代を超えたふれ合いの場として始めた。月一回の開催だが、毎回やるのがしんどくなっている。いろんな人に参加して欲しい」と訴えました。

議論では、小中学校を始めとした地域との関係をどう構築するかがとても難しいことを、多くの団体が指摘しました。また、本当に支援が必要な子どもにもっと来て欲しいが、どう呼びかければいいか分からない、といった声も出ました。司会役の県社協地域福祉部長の城代高志さんは「『子ども食堂』=『貧困』のイメージが足かせになっている。地域の学校、公民館などとの連携が課題だ」とまとめ、助言役のNPO法人フードバンク山梨理事長の米山けい子さんに発言を求めました。米山さんは「世代間交流なのか、居場所づくりなのか、貧困対策なのか、それぞれの組織が何を目指しているのかはっきりさせた方が良い。また、食堂運営団体同士の横のつながりがこれからはもっと必要ではないか。ノウハウなどの情報交換ができる」などと話しました。

一方、学校との連携については、「家庭の情報は学校が一番持っているが、プライバシーの問題で直接接触できない。政策的なアプローチが必要ではないか」との声も上がりました。

今回のイベントの事務局を務めた県社協の岩崎正志・地域福祉部長代理は「民生委員との連携も大事なのだが、食堂に来たいと思っている親子にとって、地域に住む民生委員がいることが壁になるケースもある。ケースバイケースで本当に難しい」と話していました。

このほか、食品衛生法上の問題、営業届けなどをどうクリアすれば良いか、などの疑問がいくつかの団体から出されました。これについては、岡山県などいくつかの自治体が独自のガイドラインを作り始めている、といった情報が示されました。これを受け県社協から、島根県にも働きかけていきたい、との表明がありました。

最後に米山さんから、縁結びの神である出雲大社を引き合いに「子どもたちのために何ができるか、自分たちで考えていくのが大人の責任。みなさんは、子ども食堂の縁をこれからも大切にして活動を続けて欲しい」との激励の挨拶がありました。